北欧ジャズへの誘い(3)
前回の第2回で、まだまだ続きますと書いておきながら随分と間があいてしまいました。すみません。第1回、第2回はこちら。
*今回のApple Musicプレイリストはこちら。Spotifyも作ってみました。内容は少し違います。ページ下部からも再生できます。
*今回はYoutube再生リストも作ってみました。
Jakob Karlzon (ヤコブ・カールソン)
スウェーデンのピアニスト。北欧らしい透明感と叙情性を持ちながら、e.s.t.を想起させるエフェクトの重ね方で、きらきらと煌めきながら高みに達しようという、麗らかなサウンド。かと思えばエレクトリックで技巧的な演奏もあり、緩急自在に多様な演奏をできる幅の広さもまた魅力です。
彼のトリオプロジェクト、Jacob Karlzon 3ではスピード感と透明感を併せ持つ流麗な演奏も聞かせてくれます。
Viktoria Tolstoy (ヴィクトリア・トルストイ)
ドイツの名門レーベルACTの看板的シンガーであるヴィクトリア・トルストイは文豪トルストイの玄孫(やしゃご)ですが、今やそういった肩書きなしに世界を股に掛けて活躍しています。キャリアの初期であった1997年にリリースしたアルバムWhite RussianではEsbjörn Svensson TrioとNils Landrenらをバックにして話題となりました。現在もヨーロッパジャズの重鎮Iiro Rantala、Jacob Karlzon等とも共演をして幅広い活動を続けています。
RYMDEN (リムデン)
第1回で紹介したBugge Wesseltoft (pf)、元e.s.t.のドラマーMagnus Öström、元e.s.t.のベーシストDan Berglundによるトリオ。2019年にデビューし、Blue Note東京で来日公演も行われました。
e.s.t.のようにモチーフの強さやエフェクトの重層性、ジャンル横断的なコンテンポラリーなサウンドなど、e.s.t.を更新しようとする試みのように思えます。
Dag-Filip Roaldsnes (ダグ・フリップ・ロールズネス)
2012年にデビューしたノルウェーのピアニスト。Først (2012)、I eit landskap(2016)に続いて今年(2020年)のResonansで三部作を完成させました。チェロと管楽器を用いた静謐なアンサンブルはややEyolf Daleに似た音の構成ですが、バスクラリネットの低音で支えられた暖かいサウンドが特徴的で、個人のプレイが目立ちます。
また、Daniel Herskedal (Tuba)と、伝統音楽の若手Jorun Marie Kvernberg (Hardingfele, Fiddle), Unni Boksasp (Vo., Zither)と共に伝統音楽のプロジェクトPerleskumを立ち上げ、今年「Tytebæret」でデビューしました。(あまり話題になっていないのが悲しい…)
Heidi Skjerve (ハイディ・シェルベ)
ノルウェーのシンガー、作曲家。端正で清澄な歌声は、静かなバラードも熱気ある力強い曲も硬軟両様の魅力を持っています。英語、ノルウェー語両方で歌っていますが、ノルウェー語の柔らかい発音が美しくていいですね。2015年のアルバムJazz frå skogomでは伝統音楽の要素も取り入れて、より深みのある演奏が聴けます。
Marius Neset (マリウス・ネセット)
ACTで活躍するノルウェー出身のサックス奏者。活動は幅広く、室内オーケストラLondon Symphoniettaと共作で二つのアルバムをリリースしているほか、 Adam BałdychのアルバムにJacob Karlzon、Lars Danielsonらと"The Baltic Gang"として参加。また第1回で紹介したE.S.T. SYMPHONYにも参加しています。今年は狭間美穂率いるDR Big Bandと共作でアルバムTributesも発表しています。
大編成の迫力ある演奏が多いですが、Daniel Herskedalとのデュオ作も発表しています。Abdullah Iburahimの"The Wedding"はとてもうつくしい。
Olli Hirvonen
フィンランド出身、ブルックリンで活躍するギタリスト。ロックの影響の強い実験的な音楽ですがどこかJohn Scofieldを思わせるところがあります。リーダー作は故郷の名を冠したNew Helsinki。
Andreas Hourdakis
スウェーデン出身、ギリシャとスウェーデンを拠点に活躍するギタリスト。Magnus Öströmがe.s.t.解散後に発表した初のリーダーアルバムにThread of Life参加しており、現在は自身のトリオで活動中。2017年にはBob DylanのカバーアルバムSeñorを発表。
また続くかもしれません。良い音楽があればコメントください。
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