西荻ラバーズフェスに関する、西荻フィールドワーカーの苦言と提言

西荻ラバーであり西荻フィールドワーカーとしては見逃せない、西荻ラバーズフェス(3月20日、桃井原っぱ公園[中島飛行機東京製作所跡])に行ってきた。


西荻のお店を中心に飲食、物販、ワークショップなどが出店し、割と有名な(知らないけど)ミュージシャンらが出演する、西荻を愛する人のためのフェスだったらしい。
会場は大盛況で、13時頃には飲食も売り切れが続出し、これだけの人出になることは誰も予想していなかったんじゃないかという位の賑わいようだった。
西荻の個性溢れるお店がたくさん出ていて、音楽もよかったし、西荻ラバーとしてはひじょうに楽しいイベントだった。

しかしながら、西荻フィールドワーカーとしては、どうも腑に落ちないところがある。フェスとして成功することと、西荻のためになることって別なんじゃないかなぁと思うからだ。
たしかに有名なミュージシャンが来て、フェスとして盛り上がったかもしれないけど、町の方が盛り上がりに欠けるという印象が否めない。桃井原っぱ公園は駅から結構離れていて、つまり小さい西荻の町からはだいぶ遠い。そんなところで盛り上がっても、仕方ないんだけど。。。たしかに、町に人は流れてなくはないんだけど、大体の人は駅と会場の間しか見てない感じだったし、南口は割と閑散としていたし。。北口では人は来てたみたいなんだけど、私感だが物見遊山という印象もあった。。
クーポンブックを前々から販売したり、24人のイラストレーターの作品を店で展示したりと、町と関わる企画はなくもないんだけど、前者はフェスとどう関わっているのかあまり明確でないし、後者はフェスと関係ない独立した企画と何ら変わりがない。
それに、ミュージシャンも有名(らしい)だからといって、西荻に関係が深いわけでもないし、西荻にあるいくつかのライブハウスと一緒に企画をするとか、そういうことだってできたはずだ。
どうせなら町中でやればよかったのに、と思う。たとえば高円寺フェスは町中の公園や広場や劇場に点在する会場でさまざまな企画が行われている。音楽に関しても、たとえば阿佐ヶ谷ジャズストリートやすみだストリートジャズフェスティバルは同じく町中が会場だ。
そうでなければ、、盛り上がるだけの面白いフェスなら代々木公園でも昭和記念公園でも、どこでやってもあんまり変わりがない。フェスを期に西荻に来てみた人も、これでは西荻がどんな町なのかよく分からないんじゃないのかな。
あとは、西荻って個人店が多く、一人でやっているお店も多いので、出店したくても出せないお店も多い上に、店舗を休業して出店していた店も多い。これでは、個性的な個人店が点在する西荻の魅力が伝わらないではないか。。。

イベントの帰り道、某所の店主(彼は出店していない)と話していたのだけど、その間にもお客さんは何組も来ていた。地図を見てくる人や、「ここが○○○(店名)かー」っていって入って来て、でもそれでおしまい。何も買わないで帰ってしまう。。。
最近は西荻も流行ってるけど、街が注目されることと、地域が活性化することは、ぜんぜん違う。これについては以前書いたから繰り返さないけど、単に西荻で面白いことをやれば街が良くなるなんて単純なふうには行かないのだ。

結局のところ、西荻ラバーズフェスっていうのは、西荻好きな人がその場限りで盛り上がるためのフェスだったという印象でしかない。西荻の店が集まってフェスをして、そこにミュージシャンが来て、人がいっぱいきて、楽しかった・・・でも、それが街のためになっているのかといえば、よくわからない。。西荻を愛する人のためのフェスじゃなくて、西荻を愛する人がもっとたくさん出てくるようなフェスにしなければいけないんじゃないかと思うのだけど。



と言うわけで、以下にいくつかの提言。
①会場を町中に
全てを町中に、というわけではなくて、桃井原っぱ公園はメイン会場として、音楽とか、青空ヨガとかのイベントに使えばいいと思う。でも、町中でもっと、来た人たちが楽しめるような構成にしたら、西荻の良さが活かせると思う。

②テーマを明確にする
「西荻ラバーズフェス」、で、有名なミュージシャンが来て、店舗がいろいろ出るだけだと、西荻に興味のない人の心にはあまり魅力がないのかもしれない。
古本屋、雑貨屋、アンティークショップ、パン屋、喫茶店、飲食店などが多いのだから、そういうセクションに区切って西荻の街の特色を全面に出せばいいのではないでしょうか。
とくに有名なミュージシャンはいいのだけど、なぜ西荻で彼らなのかはよく分からない。関係ないわけではないんだろうけど、せっかくならもっと、西荻のライブハウスと共同企画するなり、地元の親父バンドでもなんでもいいから、西荻でなくちゃできないことをすればいいのに。

③住民をもっと参加させる
アート系のイベントがあったのはいいのだけど、もうちょっとインタラクティブでもいいのではないだろうか。越後妻有トリエンナーレにしろ瀬戸内国際芸術祭にしろ、住民がアートに参加できるかたちになっているのもひとつの魅力。アートは単に鑑賞する対象なのではなくて、特定の、才能ある人達のものでもなくて、みんなが参加して作り上げていくものに変わってきている。
特に北川フラム氏が関わるアートプロジェクトは学校や住民と関わって教育的な意味を十分に含んでいる。そうやって草の根で作り上げていくプロジェクトは、長期的に地域を盛り上げる意味を持つだろう。
会場を町中に移せば、必然的に地域住民の協力が不可欠になる。これがネックでもあるのだけど…でも、それを期に地域のコミュニティが活性化したり、コミュニケーションが生まれたり、地域の良さを再発見する機会になればいい。

④西荻「ラバーズ」フェス は妥当か?
西荻ラバーズフェスって名前だと、恋人達のフェスなのかと思ってしまうし、西荻ラバーじゃない人は対象じゃないのだろうか、と思ってしまう。。。
西荻にいままであまり興味がなかった人でも楽しめるように、たとえば単に「西荻フェス」でもなんでもいいのだけど、西荻ラバー以外にももっと門戸を開こう。

⑤西荻に人を呼ぶだけじゃなくて、買ってもらう工夫を。
この点では、クーポンブックやイラストレーターの企画はよかったと思います。私の調査でも、人が来ても買わないという現象が一番の問題点として上がっているので、この路線をさらに進化させて、今後も継続してほしいです。

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